結論「アメリカでは治療費用1200万円が最低レベル」

先に結論を書いておきたいと思います。

のむてつ所長のむてつ所長

残念ながら、アメリカの医療費は世界一高いです。「疾病治療費用」「傷害治療費用」の補償額は、それぞれ最低1,200万円は必要。2,000万円で、少し安心できるレベル。あと注意したいのは、医療費が高額になる医療搬送が必要となったとき(アメリカ⇒日本は約450万〜2,400万円)。重病時に医療搬送を希望するかどうかで、必要な「救援者費用」の額が変わります。(下で詳しく説明します)。

このページの目的

海外旅行保険は、本当に1年で20万円以上もする「支払い無制限」のものが必要なのでしょうか?短期の保険なら、本当に、クレジットカード付帯の保険だけでは不足するのでしょうか?

このページでは、アメリカの医療費の価格を実際に見て、海外旅行保険をどれくらい掛けておく必要があるか、クレジットカード付帯保険なら、どれくらい不足するのか、ということについて考えてみます。

※東京海上やAIU、JI傷害火災、HS損保などの保険会社が公表しているデータから、できるだけ客観的に見ていきたいと思います。(記事下に、すべての出典リンクを掲載)

(※ハワイの医療費グアムの医療費については別ページで解説しています。)

まず大前提として

海外旅行保険を考えるときに、まず大前提として2点、頭に入れておいてください。

海外旅行保険の額を考えるときの大前提2つ

  1. 一番使う確率が高いのは「治療費用」。この額をメインに考えるべき。
  2. 高額医療費の原因のほとんどが医療搬送。なので「救援者費用」の額も重要

クレジットカードの宣伝でよくある「最大補償額●千万円!」というのは、実は利用確率の低い死亡補償の額だったりします。最大補償額が大きくても、あまり意味がありません。保険額を決めるのに重要なのは、「治療費用」と「救援者費用」です。覚えておいてくださいね。

判断基準

治療費用に関して↓

アメリカで盲腸手術:約300万円

  • 全体的に、日本の約5倍の額の医療費(日本の10割負担額と比較)
  • 集中治療室(ICU/CCU)の額: 公立60万/日、私立400万円/日(*4) ⇒20日間1,200万~8,000万円

救援者費用に関して↓

医療搬送イメージ

  • 日本への医療搬送(定期便): 約450万円(*4、)
  • 日本への医療搬送(チャーター便): 約2,400万円(*8その他)

医療費の価格&実際の事例

手術費用(盲腸/虫垂炎)は最高512万円

盲腸手術の費用データ

・121~201万円(手術代のみ。ニューヨーク、公立病院、2013年*4)
・266~322万円(手術代のみ。ニューヨーク、私立病院、2013年*4)
・121~186万円(手術代のみ。ニューヨーク、公立病院、2009年*5)
・298~353万円(手術代のみ。ニューヨーク、私立病院、2009年*5)
・250万円(病室代/看護費用/技術料など総費用。サンフランシスコ、2008年*6)
・150万円(病室代/看護費用/技術料など総費用。ニューヨーク、2008年*6)
・162~217万円(病室代/看護費用/技術料など総費用。ニューヨーク、2008年*2)

・334万円(病室代/看護費用/技術料など総費用。ニューヨーク、2004年*3)
・311万円(病室代/看護費用/技術料など総費用。オーランド、2004年*3)
・278~334万円(病室代/看護費用/技術料など総費用。アトランタ、2004年*3)
・167万円(病室代/看護費用/技術料など総費用。ロサンゼルス、2004年*3)
・167万円(病室代/看護費用/技術料など総費用。サンフランシスコ、2004年*3)
・167万円(病室代/看護費用/技術料など総費用。ラスベガス、2004年*3)
・106万円(病室代/看護費用/技術料など総費用。シカゴ、2004年*3)

実際に保険金が請求された事例としては、
・770万円(術後、腹膜炎併発、2015年*10)
・512万円(2014年*1)
・364万円(2012年*1)
・487万円(2008年*1)

のむてつ所長のむてつ所長

ちなみに日本の医療費は↓こんな感じ。
●盲腸手術:総額約60万円
●個室入院:一日3〜10万円
●ICU入院:一日8〜10万円
(出典2008年*2)

入院時の部屋代は個室1日52万円

病院の部屋代(1日あたり)
・公立セミ個室:12〜36万円(ニューヨーク、2013年*4)
・私立一般病棟:28万円(ニューヨーク、2013年*4)
・私立セミ個室:40万円(ニューヨーク、2013年*4)
・私立個室:52万円(ニューヨーク、2013年*4)

 ※薬代、X線代、検査費は含まず

集中治療室(ICU/CCU)は、公立病院が高く、1日465万円も

集中治療室(ICU/CCU)の費用データ(1日の価格)
・402万円(ニューヨーク、公立病院、2013年*4)
・61万円(ニューヨーク、私立病院、2013年*4)
・465万円(ニューヨーク、公立病院、2009年*5)
・71万円(ニューヨーク、私立病院、2009年*5)
・43~65万円(ロサンゼルス、2008年*2)

重大な事故に遭ったときなどは、↑この額が、毎日かかることになります(汗)。。。

その他の治療費用のデータと事例

軽い治療に対しても、高額な医療費が必要です。少し医者に診てもらうだけで、すぐに10万円は軽くかかると覚えておきましょう。

外来初診料(ニューヨーク、2015年*10) 1.5~3万円
(専門医は
2~5万円)
救急車の料金(ロサンゼルス、2008年*2) 約4万円
+1500円/マイル
入院保証金(ニューヨーク、2013年*4) 不要
アキレス腱断裂の手術費用(ニューヨーク、2013年*4) 公立病院
201~280万円
私立病院
282~322万円
骨折手術費(橈骨末端閉鎖性骨折)(ロサンゼルス、2008年*2) 6.5万円
貧血で2日入院。保存療法施行(ニューヨーク、2015年*10) 200万円
上腕骨骨折で一泊の入院(ニューヨーク、2015年*10) 150万円
のどの痛みで声が出なくなる。現地病院で受診。(年不明*7) 14万円

↑以上の事例は300万円未満のもの。

アメリカでは、下記のように、事例のほとんどが、日本では「高額事故」と扱われる300万円以上のものになります。アメリカは事例が多いので、事故のものと、病気のものを分けて見てみます。

高額な事例(事故。医療搬送を含まないもの)

状況(年度、出典) 入院日数 保険金支払額
車にはねられ脳挫傷・くも膜下出血(2014年*1) 33日 5,664万円
ベンチが足に倒れ、アキレス腱損傷・筋肉断裂(2014年*1) 0日 1,000万円
(保険金不足)
ベッドから転落。大腿骨骨折(2009年*1) 9日 666万円
肺炎(2012年*1) 10日 645万円
転倒し、十字靭帯損傷(2007年*1) 2日 540万円
転倒し、大腿骨頚部骨折(2007年*1) 6日 534万円
車が横転し、胸椎・腰椎骨折(2010年*1) 6日 458万円
転倒し、背部捻挫(2011年*1) 6日 455万円
車で衝突。ヘリ搬送。捻挫・胸部打撲(2008年*1) 0日 449万円
スキーで転倒。足首閉鎖性骨折(2008年*1) 2日 428万円
ハードル練習で、股関節打撲(2007年*1) 0日 372万円
脚立から落下。胸椎骨折・外傷性くも膜下出血S 8日 306万円

高額な事例(病気。医療搬送を含まないもの)

病気の事例は、身体の部位別に分けてみました。くも膜下出血、心筋梗塞が高いです。あと、入院0日でも、300万~400万円かかることがあることに驚きです。

部位 病名 保険金支払額 入院日数 年度、出典
くも膜下出血 2,221万円 46日 2008年*1
533万円 2日 2006年*1
頭のふらつき 316万円 2日 2012年*1
脳動脈瘤 309万円 3日 2014年*1
心臓 心筋梗塞 1,160万円 不明 年不明*7
1,015万円
(保険金不足)
5日 2010年*1
1,000万円
(保険金不足)
15日 2012年*1
687万円 3日 2014年*1
急性心不全 327万円 2日 2011年*1
冠動脈不全 841万円
(保険金不足)
12日 2009年*1
肺炎 605万円 12日 2007年*1
508万円 8日 2006年*1
383万円 4日 2014年*1
肺塞栓症 709万円 7日 2011年*1
内臓 穿孔性胃潰瘍・腹膜炎 667万円 7日 2011年*1
胃炎・十二指腸炎 387万円 0日 2014年*1
腎臓結石 606万円 0日 2013年*1
すい臓炎・腎臓障害 422万円 4日 2007年*1
胆嚢炎 1,098万円 7日 2014年*1
大腸炎 559万円 6日 2012年*1
潰瘍性大腸炎 774万円 13日 2014年*1
結腸憩室炎 323万円 7日 2010年*1
子宮 子宮筋腫 1,000万円
(保険金不足)
5日 2013年*1
子宮内膜症 758万円 2日 2008年*1
750万円 0日 2014年*1
395万円 0日 2008年*1
卵巣 卵巣のう胞 348万円 0日 2006年*1
331万円 0日 2010年*1
卵巣嚢腫 454万円 5日 2012年*1
その他 脊椎管狭窄症 2,100万円 不明 年不明*7
脱水症状 376万円 6日 2007年*1
椎間板ヘルニア 410万円 2日 2006年*1
腹部動脈瘤の破裂 305万円 2日 2008年*1
慢性副鼻腔炎・下鼻甲介肥大 408万円 0日 2012年*1
労作性呼吸困難 1,130万円 不明 年不明*7
メニエール病・貧血 367万円 2日 2013年*1

以上のデータを見て、アメリカで治療費用は最低1,200万円、2,300万円あると、まあ安心、だとわかります。(と言っても、交通事故の5,700万円だと足りないのですが。。。)

↓次に、さらに高額となる医療搬送が必要になったときの費用を見てみましょう。

アメリカから日本へ移送費&実際の事例

医療搬送チャーター機イメージ

チャーター機での医療搬送は、1時間につき約80万円かかる*8

↓飛行機での医療搬送は、定期便か、チャーター便かで、かなり価格が変わります。

定期便利用の場合

合計 約443万円
(2013年*4)
・付き添い医師1名、看護師1名
・座席を6~10席確保し、ストレッチャー利用
・定期便のメリットは、安いこと。
・デメリットは断られることもあること(感染症の疑いや、繁忙期など)

チャーター便利用の場合

合計 約2,400万円
・チャーター費用 約2,240万円(2011年*8)
・その他費用 約160万円
(その他費用の内訳)付添い医師1日20~40万円、付添い看護師1日約10万円、医療機材4万円、現地病院〜空港の車移送3~5万円、宿泊費用(遠路の場合)1人1泊1.5万円(以上、2009年*5)、成田空港〜都内病院の車移送 10~25万円(2013年*9)

・チャーター便のメリットは断られないこと。デメリットは高額であること。

アメリカから日本への医療搬送の事例

  内容 保険金支払額 入院日数 年度、出典
事故 船が揺れ転倒。腰椎骨折 2,993万円 17日 2010年*1
病気 肺炎・不整脈 2,500万円 21日 2006年*1
病気 小腸穿孔・腸内感染 2,396万円 29日 2010年*1
病気 硬膜下血腫 2,195万円 21日 2011年*1
病気 肺炎・敗血症 2,073万円 19日 2011年*1
病気 脳梗塞・心筋梗塞 1,322万円 20日 2012年*1
病気 心筋梗塞 1,171万円 7日 2008年*1
事故 バスケ試合で人と接触。外傷性気胸 1,128万円
(保険金不足)
27日 2012年*1
事故 落馬。ヘリコプター搬送。上腕骨・胸椎・肋骨骨折 1,000万円 9日 2011年*1
病気 くも膜下出血 869万円 38日 2009年*1
事故 スキーで落下。脛骨・踵骨の骨折 773万円 9日 2009年*1
事故 つまづき足を強打。大腿骨骨折 689万円 11日 2012年*1

↑この医療搬送のデータを見ると、医療搬送費用が約450万円として差し引いた場合、差し引いて残る「治療費用」は、最高2,600万円あれば足りるという計算になります。

以上が、医療搬送のデータです。ただし、この医療搬送、利用するかどうかは自分で選べます。「医療搬送は自分には不要」と割り切れば、海外旅行保険の保険料を大幅に節約できます。

医療搬送が必要かどうかの判断=大幅な節約

定期便で約450万、チャーター便だと約2,400万もかかる医療搬送。これは必ず必要なものなのでしょうか?

保険代理店に尋ねてみたところ「もちろん医療搬送も、やるかどうかは自分の判断(家族判断)になります」とのこと。では、医療搬送を希望する人というのは、どういう人で、どういう理由で希望するのでしょうか?

医療搬送はシニア層(65歳以上)が多い

ジェイアイ傷害火災が発表しているデータ(出典)によると、こんな事実が判明しています。

  • 300万円超の高額医療事故はシニア層(65歳以上)が約半数である
  • 2014年度 高額医療事故TOP5のうち4件がシニア(9,335万円〜1,888万円)

また、ジェイアイ傷害火災とエイチ・エス損保が公開している合計500件以上の事故事例(*1*7)を一つ一つ調査したところ、↓このような事実もわかってきました。

  • 1000万円超の高額医療事故73件のうち61件(84%)が医療搬送。
  • 医療搬送を病気に限定すると、脳内出血、くも膜下出血、脳梗塞、心筋梗塞など、シニアに起こりやすい病気が多い。

このように見ていくと、シニア層(65歳以上)であるかどうかによって、医療搬送の可能性は、かなり違うことがわかると思います。65歳未満の場合は、医療搬送の可能性は、かなり低いと言えると思います。

また、逆の面から見ると、医療搬送は本人(家族)の希望で行うものであることから、「シニア層が医療搬送を希望することが多い」とも言えます。

アメリカの場合は、チャーター便の医療搬送が特に高額なので、「チャーター便は利用しない」と決めるだけでも、必要な補償額は、かなり減ります(=保険料の節約になります)。

医療搬送を希望する人は、どういう理由で希望するのか?

本人(もしくは家族)の希望で行う医療搬送。日本への医療搬送を希望する理由は、どういうものなのでしょうか?調べてみたところ、3つの理由に集約できました。

日本への医療搬送を希望する人の3つの理由
1. コミュニケーションの不安
2. 現地の医療水準が不安
3. 金銭的な不安

↑これら3つの不安をクリアできるなら、保険料の節約のために「医療搬送は不要」と割りきってよいことになりますね。

「医療搬送は不要」と割りきったとき、どうすべきか

では、今度は、重要な、「高額な医療搬送を断るなら、どう対応したらいいか」という問題を考えてみましょう。上記の3つの不安それぞれに対して考えてみます。

1. 「コミュニケーションの不安」への対策

これに関しては、日本の海外旅行保険は通訳費用も負担してくれるので安心です。通訳がいれば、最低限の意思疎通は問題ないでしょう。日本と同レベルの「かゆいところに手が届く」ほどのサービスは望めないかもしれませんが、それは仕方ないと割り切るしかないでしょう。

2. 「現地の医療水準が不安」への対策

ここ最近、日本以外の国の医療水準は、急速に上がってきています。さらに言えば、ほとんどの国に、外国人や富裕層向けの、高額だが医療水準の高い「ビジネス病院」があるものです。海外旅行保険に加入している日本人旅行者は、ほとんど、こういう病院を利用することになります。ですので、現地の医療水準を、国全体や、その地域全体で考えてはいけません。

とは言っても、アメリカは国全体からしても医療水準は高いです。外務省の海外安全ホームページにも、↓このように書かれています。

医療水準,病院施設とも充実していますが,医療費は非常に高額です。

バンコクの医療関係者の方で、医療搬送にも携わり、医療搬送の難しさと高額さをよく知っている方が、ブログ(2013年の記事)中で、↓こう書かれています。

そろそろ海外で罹災した日本人患者は何でもかんでも日本の医療機関だけを妄信するのはやめたほうがいいのでは?と言わせていただきます。韓国、バンコク、シンガポール、マレーシアのビジネス病院のレベルは、日本の総合病院と医療レベルにおいて遜色はなくなっていますし、サービスレベルで行くと日本よりもはや上になっています。…(省略)…従いまして、もし海外で不幸にも病気や怪我をした場合は、現地でも十分対忚できる医療機関があるかもしれないことを考て、そこからどこでどのように治療計画を立てるか柔軟に対忚するのが肝要かと思います。

ですので、アメリカなら、医療搬送ではなく、現地で治療を続けるという選択肢もアリかと、私は考えます。

3. 「金銭的な不安」への対策

金銭的な不安というのは、具体的には、例えば、「集中治療室(ICU/CCU)の費用が一日数十万円かかるので支払いが大変。医療搬送の費用を払ってでも、早く保険の利く日本で治療を受けたい」というような場合です。

まさにアメリカの場合は、集中治療室(ICU/CCU)の費用が1日60万~400万円かかるので、このケースに当てはまります。

これに対しては、また先程のバンコクの医療関係者の方のブログが参考になります。

日本以外の多くの国では、医療機関ごとに医療レベルの差、病院費用の差が存在しますので、患者や家族がどのレベルの病院で治療を受けるかという選択をしなければならなくなることがあります。

つまり、簡単に言えば、「病院のレベルを下げれば医療費も下げられる」ということです。高級ホテルのような病院をやめて、地元の人も利用するような普通の病院を利用するだけで、かなりの節約になるはずです。

また、ニューヨークの場合は、ニューヨーク市マンハッタン区の医療費が飛び抜けて高い、ということも言われています。

ニューヨーク市マンハッタン区の医療費は同区外の2倍から3倍ともいわれており,

ですので、保険会社に病院を手配してもらうときには、医療費が比較的安い地区の病院をお願いする、というのも、一つの方法でしょう。

アメリカと同様、医療費の高いスイスでは、ドイツまで治療に行く人もいます。医療費の高いアメリカでも、自分が滞在する地区に近いところで、どこの病院が医療費が安いのかを調査しておくことも、自衛手段の一つとして大切です。

節約方法のまとめとしては、2つの選択肢、つまり「医療搬送をお願いして日本で治療」を選ぶか、それとも「医療搬送せずに、現地で病院のレベルを下げて治療続行」を選ぶか、よく考えて選択する、ということですね。

以上、3つの対策でした。

上の3つの対策を読んで、自分もできそうなら、「医療搬送必要なし」と割り切ることができるでしょう。無理そうなら、医療搬送になった場合も計算に入れて「救援者費用」の項目を多めに準備するようにしてください。

まとめ

アメリカへ行くときの海外旅行保険は、

  • 治療費用は、最低1,200万円。2,600万円なら、まずます安心。
  • 救援者費用は、医療搬送不要なら200万円。医療搬送が必要なら、450万~2,400万円
  • ただし、上記は、「交通事故に遭い医療搬送なしで5,700万円」の事例を無視したもの。これを重視するなら治療費用6,000万にすべき。

救援者費用に関して

医療搬送が不要の場合、救援者費用は200万円でいいでしょう。200万円あれば、家族が日本から駆けつける費用分を支払えるからです。200万円という数字なら、年会費無料クレジットカード1枚でカバーできる額です。

ただし、医療搬送を必要と考えた場合は、救援者費用は450万円は必要です。チャーター便利用も考えると2,400万円以上欲しいところ。450万円でしたら、保険付帯カード2,3枚でカバーできますが、2,400万円となると、有料の海外旅行保険を使わないと難しいでしょう。

治療費用に関して

治療費用1,200万円という数字は、クレジットカード付帯保険でカバーするとなると、カードが4~6枚必要な額です(治療費用補償など死亡補償以外は、カードを複数持っていると、限度額が上乗せされます)。さすがに、この額だと、プラチナカードでも1枚ではカバーできません。(参考:ゴールドカード比較表)。まずまず安心レベルの2,600万円が必要と考えた場合は、カード付帯保険だけでは無理です。有料保険を考えましょう。

結局、アメリカに関しては、有料海外旅行保険に加入するのが現実的、という結論になります。ただし、有料保険に加入する場合も、カード付帯保険を併用すべきです。カード付帯保険を併用すると、上乗せできるので、カード付帯保険のぶんだけ、保険料を節約することができます。

ただし、注意点としては、「カード付帯保険は90日間が最長」ということです。3ヶ月以上の場合は、別の節約方法が必要になります。こちらの記事にまとめています。⇒半年〜1年など長期海外旅行保険の節約方法3つ

有料の海外旅行保険に関しては、各社かなり差があるので、よく選ぶことが大切です。こちらで詳しく比較・分析しています。⇒海外旅行保険フリープラン(バラ掛け)比較ランキング

参考にさせていただいた文献リスト

保険会社の皆様、貴重なデータの公表、ありがとうございました!
*1 ジェイアイ傷害火災HP 海外での事故例(2002~2014年)
*2 ジェイアイ傷害火災HP 海外の医療事情(2008年のデータ)
*3 ジェイアイ傷害火災HP 海外の医療事情(2004年のデータ)
*4 東京海上日動 世界の医療と安全2014年
*5 東京海上日動 世界の医療と安全2010年
*6 AIU 海外での盲腸手術の総費用2008年(AIU海外留学保険総合案内サイト)
*7 エイチ・エス損保 旅行先でのトラブル事例
*8 チャーター機の料金は、アークEFI航空情報センター 航空機チャーター事業部(参考料金一覧)を参考に「1時間80万円×2(往復)×日本までの飛行時間(google mapより)」で計算。
*9 ④搬送費用 先端医療情報サイト ハロードクター
*10 外務省 在外公館医務官情報 アメリカ合衆国(ニューヨーク) 4.衛生・医療事情一般

参考為替レート

現在のレート:1ドル=0円

2018年 1ドル=約106〜113円
2017年 1ドル=約110〜115円
2016年 1ドル=約101〜118円
2015年 1ドル=約116〜120円
2014年 1ドル=約102〜120円
2013年 1ドル=約97〜100円
2009年9月7日 1ドル=約93円
2008年2月 1ドル=約104〜109円
2004年3月 1ドル=約111円